2019年3月10日。未曾有の被害をもたらしたあの日から8年となる日の前日に祈りの夜を清澄白河にて開催いたしました。
※各出演者については「公演内容」をご覧下さい。

「紫苑 〜3.11 想いを寄せて vol.6 〜」レポート

< 2019年3月10日 清澄白河 The Fleming Houseにて開催 >
「Croire」歌・ダンス・エアリアルティシュー

  • 歌:都築知沙
  • エアリアルソロ:青木由佳
  • ダンスソロ&ダンスデュオ:渡邊純子・青木由佳
  • オープニングは歌のソロから。都築の歌う「to U」が会場に響き渡る中、
  • 2番からは渡邊のダンスとの共演。2曲目は渡邊と青木のデュオダンス。
  • 青木は空中にも舞い、その姿を見て様々なことを感じる方がいらっしゃいました
  • (*下記アンケートを参照ください)。


「2011年3月10日 ー あの日、あのとき、そして今 ー」朗読

  • 文:熊倉一徳
  • 読み手:古谷洋
  • 東日本大震災の前日、2011年3月10日。
  • 石巻在住の熊倉一徳さんが日和山よりカメラのシャッターを押した。
  • 誰もが明日も同じ日常が続いていくと思っていたあの日。
  • そして翌日その光景は一変した。
  • 2011年3月10日に熊倉さんが感じた想いをデュオダンスの後に、
  • そして現在の想いを「紫苑」の最後に古谷が読ませていただきました。
  • 日常の大切さを感じると共に、今の現地の生の声が聞けたことで
  • ご来場の皆様が現地へとより一層想いを寄せ、関心を持たれているのを強く感じました。
  • また、2011年3月10日、2011年4月、2019年3月に同じ場所から撮影した写真を展示し、
  • 最後の挨拶の時は実際に出演者が手に持ち、紹介いたしました。
  • 熊倉さんが撮影した2011年3月10日の石巻


「刻 2011.03.10-03.11」エアリアルティシュー&ダンス

  • 出演:渡邊純子・長谷川美香
  • 紫苑代表の渡邊によるソロダンスとエアリアルの中に
  • 1曲長谷川が加わり約25分踊らせていただきました。
  • 震災の前日までの日常、3月11日の震災、見えてくる惨状、
  • 聞こえてくる様々な声、そして多くの優しい方との出会い。
  • 震災当時、宮城在住だった母親との会話やボランティア活動を
  • 通して見た現地の様子、出会った方々との交流と支えてくれる多くの友人、
  • 知人を思い出しながら大切に作り、踊りました。


「ハナミズキの願い (絵本『ハナミズキのみち』原作)朗読

  • 文:淺沼ミキ子
  • 読み手:一色彩世・古谷洋
  • 復興を願い、命のつながりを祈る絵本「ハナミズキのみち」の著書、
  • 淺沼ミキ子さん(岩手県陸前高田市在住)の息子さんへの想いを
  • 岩手出身の役者である一色が淺沼さんの役となり読ませていただきました。
  • 古谷は息子さんや息子さんの友人などの会話を担当。
  • 2人の優しいやりとりや淺沼さんの気持ちに心を打たれた方が大勢いらっしゃいました。
  • イベント終了後に浅沼さんにご報告したところ、
  • 優しい言葉をいただきましたのでご紹介いたします。
  • 「たくさんの方々が集まって聞いて下さったようですね。
  •  企画の素晴らしさに感動しています。
  •  小さな声でも、想いが強く、ぶれないことで伝わっていくことを確認しています。
  •  本当にありがとうございます。
  •  ご縁をいただけたことに、感謝いたします。 
  •                                浅沼ミキ子」
  • 絵本「ハナミズキのみち」は下記からご購入できます。
  • ぜひ、一度お手にとってお読みください。
  • 「ハナミズキのみち」 淺沼ミキ子 文/黒井 健 絵 出版:金の星社


「けんじのゆめ 〜イーハトーブ物語〜演劇

  • 原作:宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』
  • 脚色:都築知沙
  • 演出:UKECHUU!1/2
  • 出演:林愛子
  •    都築知沙
  •    古谷洋
  •    一色彩世
  •    長谷川美香
  •    青木由佳
  • 宮沢賢治の心象世界の中にある理想郷、イーハトーブ。
  • その中で紡がれる1人の少年の冒険譚。
  • 紫苑出演者全員による宮沢賢治原作のお芝居。
  • 30分の中に少年の勇気と信念が時に楽しく、時に悲しく、時に力強く、時に優しく
  • 描かれ、そして『明日』に繋がっていく。
  • 『希望』の見えるそのラストがあたたかく会場を包みました。


「エンディング・黙祷歌・エアリアルティシュー

  • 「花は咲く」を1番は都築のソロ、そして2番は出演者全員で歌いました。
  • (渡邊のみエアリアルティシュー)
  • 声を合わせて響く歌声が優しい空間となりました。
  • その後、ご来場いただいた皆様とキャンドルの灯りのもと、黙祷いたしました。
  • 代表渡邊の挨拶の後、古谷を残して出演者は退場。
  • 残った古谷が石巻の熊倉さんからいただいた
  • 現在のお気持ちをお手紙形式で朗読し、多くのあたたかい拍手が会場に
  • 響き渡る中で6回目の紫苑が無事に終演いたしました。
  • ご参加くださった皆様、ご協力くださった皆様、そして応援してくださった皆様に心より感謝申しげます。














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※撮影:Riko

<ご報告>
チケット代及び協賛金の合計より必要経費を引いた金額は67,000円(端数切上)となりました。
それに当日と事前に頂戴した寄付の42,028円を加えた109,028円に端数分を加えた110,000円、そして2018年12月1日に紫苑の主催Algiidが行ったチャリティー公演で集まった30,000円を加えた合計140,000円を東日本大震災を伝えている団体、被災された方を励ます活動をしている団体、各地での災害支援活動をしている団体、震災遺児支援をしている団体、2018年7月発生した「西日本豪雨」、同年9月に発生した「北海道胆振東部地震」の支援活動をしている団体に寄付いたしました。

「陸前高田『ハナミズキのみち』の会」様  25,000円
(紫苑当日、絵本「ハナミズキのみち」の原作「ハナミズキの願い」を読ませていただきました)
陸前高田市の海側から山側に延びるシンボルロードに、避難路の目印としてハナミズキを植樹することを目的として立ち上がった会です。植樹と共に震災の記憶や教訓を風化させないように努めていらっしゃいます。
シンボルロード「ハナミズキのみち」が完成となり、2019年5月12日(日)に除幕式が行われます。

「閖上の記憶」様  20,000円
東日本大震災の翌年2012年4月22日に旧閖上中学校の入り口に誕生した「津波復興祈念資料館」です。
震災やいのちの大切さを伝える取り組み、そして被災された方たちへの語る機会や場所の提供も積極的に行っていらっしゃいます。(七ヶ浜で紫苑を開催していた時は毎年のように紫苑メンバー全員で訪れていました)
現在は閖上朝市メイプル館さん南側に移動されています。

「あしなが東日本大震災遺児支援基金」様  20,000円
病気や災害、自死(自殺)などで親を亡くした子どもたちや、親が重度障害で働けない家庭の子どもたちを支える民間非営利団体の「あしなが育英会」の中の東日本大震災・津波遺児への支援活動へと寄付いたしました。
東日本大地震・津波で親を失った子どもたちの“心を癒す家”「東北レインボーハウス」を2014年に仙台、石巻、陸前高田の3か所に設立し、 東北の子どもたちのケア活動に力を尽くされています。

「『絵を届けたい!』プロジェクト」様  10,000円
石巻地方の仮設住宅と復興住宅に毎年、懐かしい震災前の石巻の風景画をカレンダーにしてお届けするプロジェクトです。
2019年末にも希望者へプレゼント予定していらっしゃいます。
(こちらのプロジェクトの代表が今回文章を寄せてくださった熊倉一徳様です)

「一般社団法人安平町復興ボランティアセンター」  15,000円
2018年9月に発生した「北海道胆振東部地震」で大きな被害を受けた安平町で災害ボランティアセンターのメンバー、地域住民、長期ボランティアが発起人となり立ち上がった社団法人です。
「震災前より魅力的なまち」を目標に、地域住民、ボランティアの皆様と力を合わせて、町の復興に取組んでいくことを目的とされています。

*以下は各地のボランティア活動に長年定期的に(月に何度も)参加されていて、紫苑も長く応援してくださっている小川竜也さんに寄付先を相談し、教えていただいた信頼のできる支援活動団体になります。
(小川さんからの団体説明も一緒にご紹介させていただきます)

「OPEN JAPAN」様  15,000円
社協と連携したり、企業がタイアップするくらい信頼されている団体です。
西日本豪雨被害の時には交通の便などから支援の手が届きにくそうだった愛媛県西予市に拠点を置き活動されていました。秋田の大雨被害や北海道胆振東部地震にも駆けつけたりと、中々手の届かないところに回って住民に寄り添ったり、他の団体に配慮しながら黒子に徹して頑張っている方々です。ただ活動するだけじゃなくて、自分たちが去った後も地元の方々だけで活動ができるようなノウハウを提供しながら活動されています。

「NGO結」様  15,000円
発災直後の社協ボラセン立上げの時には、ほぼ必ずと言っていいほど社協から声がかかってボラセン立上げ・運営のコーディネートをしている団体です。中長期的なことも考えて最終的には地元の方々で対応できるような仕組みづくりを現場作業よりもニーズ調査や協力団体に対してマッチングを主にしている感じです。
西日本豪雨被害の時には他の支援団体の動向を見ながら、手の届いていない愛媛県宇和島市を中心に活動されていました。 被災した結果、出荷できなくなったみかんを買い取り商品化したりと農家の方が助かるような支援もされています。

「愛知人」様 10,000円
拠点のある春日井市からも感謝状が出るくらいの団体です。
西日本豪雨のときは広島県坂町や岐阜県関市の復旧支援に入り、ひと段落ついたところで今は岸和田市社協と連携して台風21号で被災した屋根の応急処置を行っています。大阪北部地震の時にも吹田市に入り、西日本豪雨被害が発生した後でも先発隊で数名が西日本豪雨被災地に入るもののきちんと吹田市の案件を片付けてから西日本豪雨被災地にシフトしたという責任をもって最後まで仕事をされる団体です。

「レスキューアシスト」様 10,000円
茨木社協と連携をとりながら大阪北部地震から台風21号被害へと続いた大阪の支援活動を一貫して行っている団体です。他の団体が西日本豪雨被害が発生した時に西日本豪雨被災地にシフトしたときも大阪に残り頑張ってくれています。

ぜひ、ウェブサイトから各団体のご活動の詳細をご覧くださいませ。

皆様からの沢山のご協力、心から感謝しております。

< アンケート結果 >
2019年3月10日の「紫苑」ではご来場者様対象にアンケートをさせていただきました。
結果は以下の通りです。

「イベントはいかがでしたか?」
  大変良かった:75%  良かった:25%
 (普通、悪い、大変悪かったは0%でした)

「良いと思ったのはなぜですか?」
・続けていただいていること。借り物ではない気持ちを込めていただいているように思いました。
・震災についてまた考えさせていただけました。強く生きようと思えました。
・とても丁寧なパフォーマンスで想いが伝わってきました。
・心、命について熱く感じた。
・少ない大道具、小道具で人を感動させる素晴らしい演技でした。あっという間の100分でした。
・震災に真剣に向き合えた。
・複数の演目という構成。被災者の生の声を朗読の形で聞けたこと。
・風化させてはいけないことを強く思えたから。
・気持ちが伝わってきました。
・続けないと風化してしまう。観にこれてよかった。
・震災のことを再び考えることができました。
・キャパやステージの関係でエアリアルも劇も難しかったと思いますが、入りハケなど工夫されていて、とても素晴らしいイベントでした。
・構成もしっかりしていて、内容も素晴らしかった。
・ダンスとエアリアルの迫力と朗読が特に良かったと感じたから。
・タイムリーで思い出したから。
・全てのパートの完成度が高いと感じた。
・挿入歌、素敵な曲がよかった。
・震災のことが知れてよかったです。少し長かった。(小学生)
・ダンス、お芝居、歌、朗読、どれもよかったです。
・災害のことがよくわかったから。
・人間の優しさ。
・演出も進行もシンプルで見やすかった。

「実際に震災後、東北を訪れたことがありますか?」
  はい:29% いいえ:71%

「今後、どのような支援が必要になってくると思いますか?」
・東北地方にまだ足を運んだことのない人にまず来てもらい、そして2011年にあったことをより身近に感じてもらうことが必要だと思います。
・そこに人が残れるよう働ける場所を作ることが大切。
・気にしてニュースを観る、直接東北の支援ではなくても、まずは何らか日本の災害関連に意識する。
・三陸鉄道も全線開通したし、現在どうなっているか、何か必要かの周知。東北の企業の株や商品の購入ももちろん。最近は様子が見えづらい気がします。
・東北に行き続けること。防災の意識を継承すること。
・継続した関心と支援。
・風化を防ぐこと。変わってしまったもの、変わらなかったもの等々。
・忘れないでいること。
・心の支え。
・個人レベルでは実際に現地に行き、お金をそこで使うこと。
・語り継ぐこと。
・神奈川海老名市の岩手県人会で行事ごとにワンコインカンパをしている。5年で20万円ぐらい義援金として送っている。忘れずにコツコツ続けることが必要だと思う。
・たくさんの人が東北を訪れること。
・募金、心のケア。
・震災のあった場所を元に戻す支援。
・皆が現実をもっとよく知れたらよいと思います。
・人情感優しさの気持ち。
・逆に何を必要にしているのかを知りたい。

「そのほか、ご意見やご感想などあればお願いいたします」
・とても心温まりました。感動して、涙がつい溢れそうになりました。本日はありがとうございました。
・東北だけではない、様々な場所で起こる災害にどう対処できるか、それを過去にしない事とはどういう事かを考えさせられました。ありがとうございます。
・チャリティイベント、おそらく初めて来ました。直接災害で知人を亡くしたことはありませんが、気持ちが伝わってきました。
・ありがとうございました。今後も応援していきます。
・一緒に祈らせていただき、ありがとうございました。
・初めて来ましたが、とても心打たれるものがありました。これからもぜひ頑張っていただきたいと思います。応援しています。ありがとうございました。
・震災を考えるきっかけをありがとう。
・エアリアルティシュー、目にするのは初めてでしたが、最初の青木さんのソロを見ている時に波にもまれる人を見ているようで胸が詰まりました。あのような表現ができるものなのですね。。。
・声が良く通り、よかったです。

「イベント後の届いたご感想」
・今回は8年経った。という事を常に感じながら観させていただきました。
ずっと心に浮かんでいたのは実際に被害にあわれた方(陸前高田)のことでした。
その方は
「あぁ、終わった。と思った。
でもその時、同時にこれからとんでもないことが始まるのだと感じた。」と仰っていて。
でも、一緒に逃げた旦那様が昨年亡くなり。。。

8年という月日は色々な変化を生み出し、一人一人の環境も感情も変化を生み出す。
だからこそ、「今」を大切にしたい。
過去は変えられない。今に、未来につながる。 

未来を向いて、今を大切に生きる。 

これからの支援は、変わらず寄り添うことと、未来に何が出来るかを考えること。



アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。
今後のご参考、励みにさせていただきます。

< 出演者からの感想 >
今回、初出演したメンバーから感想をもらいました。
皆様にも伝えたく、ご紹介させていただきます。

パフォーマンスや芝居的にも新しいことに挑戦できて、とても幸せで、ありがたい稽古でしたが、
何より今まで想像できていなかった人々の気持ちや復興応援ってどういうことなのか…などなど、意識することができる大切な機会を与えていただいたと思ってます。
私は今まで東北地方に縁や繋がりがなく、震災後も訪れようと思いながらそのままになってたんですが…これを機に、ほんとに行ってみようと思い始めてます。

震災から8年が経ち、私自身の中でも気付かぬうちに徐々に記憶の風化が始まっていたところに、今回の紫苑のお誘いを頂き、関われたことで以前よりも復興への意識を高くもてたと思います。この貴重な機会を本当に有難うございました。素敵な人達に囲まれて、とても心に残るイベントになりました。

復興イベントを終えて終わりではなくて、今から自分のため、家族のために備えをしていかなければと感じています。

沢山の方からも、知人の方や現地へ、改めて想いを馳せるきっかけを貰えて嬉しかったというお言葉を頂き、私自身も改めて「生きる」ということ、「生かされている」ということに対して考えるいいきっかけを頂きました。

私自身が被災者ではないため、何を言っても綺麗事になってしまうと思って何も出来ないでいたところもありましたが、でもその綺麗事が誰かの背中を押すこともあるんだと、気付けたことが自分の勇気に変わりました。